CONTENTS

施行日:令和元年7月1日

2.火災の予防

第2章 火事を出さないために

第二章 火災の予防

第3章 危険物に対して

第1章 この法律を通して言えること
火災を起こさぬように命令を
第3条重要罰則

消防組織は自治体の規模などによって異なりますが、一般市民で構成する《消防団》と、専門の公務員による《消防署》を設置する場合があります。

消防署を設置する場合は、消防署や分署などを束ねる《消防本部》が設置されます。

消防本部を設置する場合は《消防長》という役職が消防組織の最高責任者となり、消防本部を設置しない場合は《市町村の長》が消防組織の最高責任者となります。

《消防長》や消防署の責任者である 《消防署長》、一般の消防官である《消防吏員》は、次の人に対して、次の一から四の対応を命じます。

  • 屋外で火災を起こしそうなヤバいことをしている人
  • 火災発生原因となりそうな物や、消火や避難のジャマになる物を何とかすることができる人(所有者や管理者、占有者)

消防法で《消防長》という場合、第6章と第35条の3の2の規定をのぞき、消防本部を設置しない自治体ではその市町村長が以下の役割を担うことになります。

以下の行為を禁止、停止、制限をしたり、いざという時のための消火準備をさせること。

  • 火遊び
  • 喫煙
  • 焚き火
  • 火を使う器具や設備の使用
  • その他、火災の原因になりそうなこと

火の後始末
重要

危険物や放置しておくと火がつくおそれのある物の除去や処分
重要

燃えやすいものに限らず、放置しておくとジャマな物の整理や除去
2重要

火災が発生原因になりそうな物や、消火活動や避難などのジャマになる物の持ち主らの連絡先がわからない場合、《消防長や消防署長》の命令により持ち主が費用を負担する前提で、消防官が除去や処分、整理をすることになります。

消防本部が設置されていない場合は、消防団員がこの対応にあたります。

除去された物は消防署の方で保管をする必要があります。
3

災害対策基本法の第64条第3項から第6項までの規定を次のように読み替えて適用します。

  • 消防長や消防署長は、火災発生原因になりそうだったり、消火活動や避難のジャマになるものを持ち帰ってきた時、保管に手間やお金がかかる場合は政令に従ってそれらを売却して費用にあててもかまいません。

  • 消防官が持ち帰ったものの保管費用や売却経費は受け取りに来るはずの持ち主らが負担してください。

    その支払は、行政代執行法の第5条及び第6条の規定を同じように適用することとします。

    • 代執行に要した費用の徴収については、実際に要した費用の額及びその納期日を定め、義務者に対し、文書をもつてその納付を命じなければならない。

    • 代執行に要した費用は、国税滞納処分の例により、これを徴収することができる。

    • 代執行に要した費用については、行政庁は、国税及び地方税に次ぐ順位の先取特権を有する。

    • 代執行に要した費用を徴収したときは、その徴収金は、事務費の所属に従い、国庫又は地方公共団体の経済の収入となる。

  • 行政代執行法の手続きを踏まえて公示を行い、6ヶ月経っても引き取りに来る人がいない場合、預かったものは命令を下した消防長らの属する市町村のものとなります。
4

消防長や消防署長が、火災発生原因になりそうなものや消火活動や避難のジャマになるものを何とかするように命令を発したのに、きちんと対応してくれない場合は、行政代執行法の規定に則って、消防署の職員や業者らに何とかさせることが認められます。
原文
どんな建物、どんな状況か、資料を
第4条重要罰則

火災を防ぐために、消防長や消防署長から建物などの関係者に対して、建物などの資料の提出や対応などの報告を命じられることがあります。

さらにその消防の職員らによる業務現場や工場、人々が出入りする場所などへの立入検査を受けることもあります。

立入検査では、消防対象物の位置や構造、設備、管理状況が調べられ、場合によっては関係者らに聞き取り調査を行うこともあります。

この調査について消防本部が設置されていない市町村では消防団の団員がその役割を担います。

なお、個人の住居に対して関係者の許可が得られない場合、よほど火災発生のリスクが高くて緊急の必要がなければ勝手に立入調査を行うことはできません。
2重要

立入調査を行う場合、消防の職員は市町村が発行する身分証明書を持参し、求めに応じてこれを提示する必要があります。
3

立入調査を行う場合であっても、むやみに建物の関係者らの業務の邪魔をしてはなりません。
4

立入調査によって得られた情報は、必要以外の目的で使用したり、他人に漏らしてはなりません。
原文
消防団員にも立入検査
第4条の2

消防長や消防署長が必要だと認めたら、その管轄の消防団員が立入検査をしたり、聞き取り調査をすることがあります。

消防団員が立入検査を行う場合は予めその期日や期間を伝えておく必要があります。

消防本部が設置されない市町村の場合は非常勤の消防団員が対応しなければなりません。
2

消防団員が個人の住居に立入検査を行うには関係者の許可を得るか、よほど火災発生のリスクが高くて緊急の場合に限られます。

消防団員が立入検査をする場合も、身分証明書を持参し、求めに応じてこれを提示する必要があります。

また、むやみに建物の関係者らの業務の邪魔をしてはならず、得られた情報は、必要以外の目的で使用したり、他人に漏らしてはなりません。
原文
建て直しや工事の中止を命じられるケース
第5条罰則

火災が心配される位置、構造、設備や管理の状況にある建物などについて、消防長や消防署長から次のように判断されたら、建て直しや移転、片付け、工事の停止や中止、さらに必要と思われる処置を命じられることになります。

  • 火災を起こす危険があると判断された場合
  • 消火や避難、消防活動のジャマになると判断された場合
  • 火災の際に人命が危険にさらされると判断された場合
  • 火災予防上必要があると判断された場合

たとえ建築基準法をはじめとする各種関連法令によって許可や認可を受けていれば、建て直しなどを命じられることはないはずですが、その認可通りになっていないため火災などの危険性有りと判断されると処置の対象になります。
2

消防長や消防署長が、建て直しや移転、片付け、工事の停止や中止、そして必要な処置を命じたのに、きちんと対応してくれない場合は、行政代執行法の規定に則って、消防署の職員や業者らに何とかさせることが認められます。
3

消防長や消防署長が、建て直しや移転、片付け、工事の停止や中止、必要な処置を命じたら、標識を立てるなど総務省が指示したやりかたで命じた内容を公示する必要があります。
4

建て直しや移転、片付け、工事の停止や中止、必要な処置の命令に関する標識は対象となった建物などの現場に立てることになります。

そうなったら、建物の関係者が標識を立てられることを拒んだり、ジャマをすることは許されません。
原文
使用禁止や制限を命じられるケース
第5条の2罰則

建物などの位置や構造、設備、管理状況が次のケースに該当すると、消防長や消防署長から使用禁止や制限を命じられることになります。

消防長らから建て直しや工事の中止などを命じられたのに、ちゃんと対応しなくて火災発生の危険が解消しなかったり、避難や消火活動の支障が取り除かれないケース。

消防長らから建て直しや工事の中止などの命令に従ったとしても、それだけでは火災発生の危険が解消しなかったり、避難や消火活動の支障が取り除かれないケース。
2

消防長や消防署長が、建物などの使用禁止や制限を命じたら、標識を立てるなど総務省が指示したやりかたで命じた内容を公示する必要があります。

この標識は対象となった建物などの現場に立てることになります。
原文
建物の中でも火災を起こさぬように命令を
第5条の3罰則

次のような人に対して、消防長、消防署長、消防吏員から、火災になりそうなことをやめさせたり、後始末や片付けを命じられたりすることがあります。

  • 建物などの中で火災の原因になりそうなことをしている人
  • 火災を起こしそうな建物の所有者や管理者
  • 火災の原因を何とかすることができる建物の使用者
  • 消火や避難、消防の活動などに支障がありそうな建物の所有者や管理者
  • 消火や避難、消防の活動などに支障がありそうな建物の使用者
  • 緊急の場合は、上記以外の建物の関係者
2

上記の人の連絡先がわからない場合、その人たちに対して火災になりそうなことをやめたり、後始末をするように、と公示されます。

そこには期限までに対応しないと、消防署が代わりに対応することも記載されます。

それでも連絡がつかない場合、消防長や消防署長の命令により上記の人が費用を負担する前提で、消防官が除去や処分、整理をすることになります。
3

建物の所有者らの連絡先がわからないため、火災の原因になりそうなものや消防活動のジャマになりそうなものを消防署側で除去をした場合、除去したものは消防署で保管することになります。
4

災害対策基本法の第64条第3項から第6項までの規定を次のように読み替えて適用します。

  • 消防長や消防署長は、建物などの中から火災発生原因になりそうだったり、消火活動や避難のジャマになるものを持ち帰ってきた時、保管に手間やお金がかかる場合は政令に従ってそれらを売却して費用にあててもかまいません。

  • 消防官が持ち帰ったものの保管費用や売却経費は受け取りに来るはずの持ち主らが負担してください。

  • その支払は、行政代執行法の第五条及び第六条の規定を同じように適用して次のような規定となります。

    • 消防官が持ち帰ったものにかかった経費の徴収は、かかった費用の額を確定し、納期日を定めて、持ち主に請求書用意して請求します。

    • 消防官が持ち帰ったものにかかった経費を支払わない場合、国税を滞納したときの処分と同じ方法で徴収されます。

    • 消防官が持ち帰ったものにかかった経費は、国税、地方税に次ぎ、他の請求権よりも高い先取特権が消防に認められます。

    • 消防官が持ち帰ったものにかかった経費が支払われたら、そのお金は項目ごとの振り分けに応じて国庫か地方公共団体の収入となります。

  • 公示などの必要な手続きを行って6ヶ月経っても消防官が持ち帰ったものに引き取る人がいない場合、消防長らの属する市町村のものとなります。
5

消防署が建物などの所有者らに何とかするように命じたら、標識を立てるなど総務省が指示したやりかたで命じた内容を公示する必要があります。

この標識はその現場に立てることになりますが、所有者らはこれを拒んだり、妨害することは許されません。
原文
命令が不服だったら、30日
第5条の4

消防署からの命令が気に入らなくて、行政不服審査法に基いて命令が適切かどうかを審査する請求をした場合、審査に関する期間はその命令を受けた次の日から数えて30日とします。
原文
不服が認められたり、命令が埠頭だったら
第6条

消防長らから火災の原因になるものや消防のジャマになるものを何とかしろとの命令が不服だとしても、正当な理由もなく命令を受けてから30日以内に命令取り消しを訴えでないと、受理してもらえなくなります。
2

不服が裁判で認められ、命令が取り消しになった場合、その命令によって発生した損害は時価で補償してもらえることになります。
3

この法律において火災の原因や消防のジャマとされるほど位置や構造、設備あるいは管理状況に問題があるわけでもないのに、何とかするように命令されて損害を受けた場合、裁判で不服を認められるまでもなく、損害は時価で補償してもらえることになります。
4

命令によって受けた補償に対する費用は該当する市町村が負担することになります。
原文
消防同意
第7条重要

所定の建築物を建築する場合は、着工までに建築基準法がらみの規定に適合していることを確認するため、行政や検査機関に確認済証を発行してもらう必要があります。

確認済証を発行する立場の行政や検査機関は、あらかじめ消防長や消防署長の同意を得ておくことが必要です。

その例外は次の2つだけです。
  • 防火地域と準防火地域の区域外に長屋や共同住宅ではない住宅を建てるための建築確認の場合
  • 政令で指定されたエレベーターなどの建築設備を設置するための建築確認の場合
2重要

確認申請をした建築物の計画が防火に関する法律や条例の規定、建築に関わる命令を遵守している場合は、建物の状況などによって次の期間内に同意の通知が得られることになります。

  • 都市計画区域外などに立地し、構造や規模的に建築確認が必要な建築物(建築基準法第6条第1項第四号に該当)の場合、3日以内
  • 都市計画区域内に立地する場合、7日以内

同意の通知は、該当する行政庁や、行政庁から委任を受けた指定確認検査機関に通知されます。
3

《認証型式部材(建築基準法第68条の20第1項に規定)》を用いた建物の消防同意は、あらかじめ確認を済ました部材として扱われます。
原文
防火管理者
第8条重要

次の用途の建物の管理上の最高責任者は、《防火管理者》を決めて、下記の役割を任せてください。

《防火管理者》を決める必要がある用途の建物
  • 学校
  • 病院
  • 工場
  • 事業場
  • 興行場
  • 百貨店、大型のショッピングセンター
  • 《複合用途防火対象物》:いろいろな用途の部屋が集まっている建物
  • いろいろな人が出入りして働いたい暮らしたりする建物

《防火管理者》の役割
  • 消防計画の作成
  • 作成した消防計画に基いて、消火訓練、通報訓練、避難訓練の実施
  • 《消火設備》《警報設備》《避難設備》の点検と整備
  • 消防用水や《消火活動上必要な施設》の点検と整備
  • 火気の使用や取扱の監督
  • 避難や防火に必要な設備などの維持管理
  • 収容人員の管理
  • その他、防火管理上必要な業務


《防火管理者》を任せられる人は政令で定められた資格を有する必要があります。
2罰則

防火管理者を決めたら、所轄の消防長や消防署長に届け出る必要があります。

防火管理者が辞めたり、首にした時も届け出る必要があります。

届け出をするのは、その建物の管理上の最高責任者の役目です。
3罰則

防火管理者が決まっていない建物の、管理上の最高責任者には、消防長や消防署長から早く決めるよう命じられることになります。
4罰則

防火管理者がちゃんと自分の役目を果たしていないと判断されたら、建物の管理上の最高責任者には、消防長や消防署長から法令や消防計画に沿って何とかするよう命じられることになります。
5

防火管理者が決まらなかったり、防火管理者になんとかさせるよう命じられるときには、現場に標識を立られて公示されることになります。

もちろんそれを身勝手に拒むことは許されません。
《防火管理者》に必要な資格とは、「資格講習を受け試験の合格」「大学などで防災に関する課程を修め、防火関連の実務経験1年以上」「消防職員他の防災関連職務の所定期間以上の実務経験」などです。
《消防の用に供する設備》とは、《消火設備》《警報設備》《避難設備》の総称です。
《消火活動上必要な施設》とは、消火活動を行うために無くてはならない施設のことで、《排煙設備》《連結散水設備》《連結送水管》《非常用コンセント設備》《無線通信補助設備》などのことを指します。
建物の“管理上の最高責任者”のことを《管理について権原を有する者》といいます。
原文
統括防火管理者
第8条の2重要難文

次の施設で、建物の管理上の最高責任者が複数いる場合は協議をした上で、管理上の区分を超えて総合的に管理を行う防火管理者を決めてください。

  • 高層建築物(高さ31メートルを超える建物)
  • 政令で定める防火対象物
  • 地下街(消防長・消防署長から指定を受けた場合)

この場合の防災管理者を《統括防火管理者》といいます。

統括防火管理者は、次の役割を担います。

  • 防火対象物の全体についての消防計画の作成
  • 消防計画に基づく消火訓練、通報訓練、避難訓練の実施
  • 廊下、階段、避難口その他の避難上必要な施設の管理
  • 防火対象物の全体についての防火管理上必要な業務


統括防火管理者を任せられる人は政令で定められた資格を有する必要があります。
2

統括防火管理者がその役目を果たすにあたり必要があれば、各区分ごとの防火管理者に対して必要な措置をとるよう指示することができます。
3

各区分ごとの防火管理者が作成する消防計画は、統括する建物全体の消防計画に沿った内容とする必要があります。
4

統括防火管理者を決めたり、辞めたり、首にしたら、所轄の消防長や消防署長に届け出る必要があります。

届け出をするのは、その建物の管理上の最高責任者の役目です。
5

統括防火管理者が決まっていない建物の、関係する管理上の最高責任者のみなさんには、消防長や消防署長から早く決めるよう命じられることになります。
6

統括防火管理者がちゃんと自分の役目を果たしていないと判断されたら、関係する管理上の最高責任者のみなさんには、消防長や消防署長から法令や消防計画に沿って何とかするよう命じられることになります。
7

統括防火管理者が決まらなかったり、統括防火管理者になんとかさせるよう命じられるときには、現場に標識を立られて公示されることになります。

もちろんそれを身勝手に拒むことは許されません。
原文
防火対象物の点検義務
第8条の2の2罰則

防火管理者を決める必要がある用途の建物に対しては、消防法、関連省令の基準や命令などと照らして、次の事項がきちんと行われているかを点検する役目の人を決めた上で、その結果を消防長や消防署長に報告しなければなりません。

  • この建物の防火管理上必要な業務
  • 消防用設備の設備と維持
  • 消防用水の設備と維持
  • 消火活動上必要な施設の設置と維持
  • その他火災の予防に必要な点検の対象事項

報告する義務は、この建物の管理上の原権を有する人が負うことになります。

防火対象物の状況の点検に関する資格を持つ人のことを《防火対象物点検資格者》といいます。
2

防火対象物点検資格者による防火管理の点検をした結果、ちゃんとしていることが認定されたら、「防火基準点検済証」を建物の利用者の目につくところに表示することが許されます。

「防火基準点検済証」に関する細かいことは、総務省令で決められていて、点検の実施日などが記載されています。
3罰則

しかるべき認定を受けずに「防火基準点検済証」を表示することは許されません。

これとよく似た紛らわしいものを表示することも許されません。
4罰則

点検によってちゃんとしていることが認定されていないのに「防火基準点検済証」を表示したり、これと紛らわしいものを表示した場合、その表示を下ろさせたり、塗りつぶさせたりするように命じられます。
5

特例として第8条の2の3の規定に該当する建物は、点検結果の報告義務を免れます。
原文
防火対象物の点検義務の特例
第8条の2の3

次の要件を満たしていれば、点検が必要な建物であっても消防長や消防署長に申請をすることによって、良い意味で特別な防火対象物であると認めてもらうことがあります。

実際に建物の管理を始めてから3年以上が経過していること。

過去3年の間、次項目のどれにも当てはまらないこと。

火災発生や建物の構造などの問題、防火管理者の問題、消防設備の設置基準違反などで、消防長や消防署長から対策の命令を受けたり、命令される状況ではないこと。

消防長・消防署長から特別な防火対象物であるという認定を取り消されたり、取り消される状況ではないこと。

きちんと点検を行い、きちんと報告を行い、ウソの報告をしていないこと。

点検の結果、防火対象物点検資格者から不合格とされていないこと。

点検項目に限らず、総務省の基準に照らして、消防法や関連する法令をきちんと遵守していること。
2

特別な防火対象物であると認めてもらうためには、所在地の他に必要事項を記載した申請書を消防長や消防署長に提出し、検査を受ける必要があります。

必要事項について詳しくは総務省令で決められています。
3

申請の結果は合否に関わらず、消防長や消防署長から総務省令で決められた手順に従って申請者に通知されます。
4

特別な防火対象物であると認められても、次の時にはそのメリットを受けられなくなります。

認定から3年以上経過した時。

建物の管理上の最高責任者が交代した時。
5罰則

建物の管理上の最高責任者が交代したら、交代する前の最高責任者が総務省令の定めに従って変更の届け出をする必要があります。
6

次のケースに該当すると、特別な防火対象物の認定が取り消されます。

虚偽や不正な方法で認定を受けていたケース。

火災発生の心配や、建物の位置や構造の問題、防火管理者の問題、消防設備の設置基準違反などで、消防長や消防署長から対策の命令を受けたケース。

点検項目に限らず、総務省の基準に照らして、消防法や関連する法令をきちんと遵守していないケース。
7

良い意味での特別な防火対象物との認定を受けたら、「防火優良認定証」を建物の利用者の目につくところに表示することが許されます。

「防火優良認定証」に関する細かいことは、総務省令で決められていて、認定を受けた日などが記載されています。

「防火優良認定証」を表示するためには、その建物全体が優良と認められていることが必要で、建物の管理上の最高責任者が何人かに別れている場合に一部の責任エリアでも優良と認められていないと、これを表示することが許されません。
8罰則罰則

優良との認定を受けずに「防火優良認定証」を表示することは許されません。

これとよく似た紛らわしいものを表示することも許されません。

認定されていないのに「防火優良認定証」を表示したり、これと紛らわしいものを表示した場合、その表示を下ろさせたり、塗りつぶさせたりするように命じられます。
原文
避難路や防火戸の管理
第8条の2の4

次の用途の建物の管理上の最高責任者は、避難する時の通り道となる廊下や階段、避難口などにジャマになるものが置かれないように管理をしてください。

また防火戸が閉まる時に支障をきたすようなものが置かれないような管理もしてください。

管理が必要となる用途の建物
  • 学校
  • 病院
  • 工場
  • 事業所
  • 興行場
  • 百貨店
  • 旅館
  • 飲食店
  • 地下街
  • 複数の用途で使われる建物
  • その他政令で定めらた用途の建物
原文
自衛消防組織の結成
第8条の2の5

第8条第1項の規定により防火管理者を決める必要がある建物で、大勢の人が出入りし、所定の規模を超える場合は、自衛の消防組織を結成する必要があります。

自衛の消防組織について詳細は政令で定められます。
2

自衛消防組織を結成したり、変更が生じたら、建物の管理上の最高責任者は組織のメンバー構成や総務省令で定められた必要事項を消防長や消防署長に届け出る必要があります。
3

必要があるのに結成していない場合、消防長や消防署長から建物の管理上の最高責任者に対して自衛消防組織を結成するように命令されることになります。
4

消防長や消防署長が自衛消防組織の結成を命令したら、標識を立てるなど総務省が指示したやりかたで命じた内容を公示する必要があります。

この命令に関する標識は対象となった建物などの現場に立てることになります。

そうなったら、建物の関係者が標識を立てられることを拒んだり、ジャマをすることは許されません。
原文
カーテンや合板は防炎に
第8条の3重要

次の建物や用途に使われる建物は、政令で定める基準以上の防炎性能を有するカーテンを使わなければなりません。

展示をしたり舞台として使われる場合は、政令で定める基準以上の防炎性能を有するどん帳や展示用合板などを使わなければなりません。

  • 高層建築物
  • 地下街
  • 劇場
  • キャバレー
  • 旅館
  • 病院
  • 政令で定める防火対象物
2

“カーテン、どん帳、展示用合板、これらに類する物”で、ちゃんと政令の基準以上の防炎性能が認められた物品のことを《防炎物品》といいます。

防炎物品には、総務省令に従ってちゃんと基準以上の性能があることを表示することが許されます。
3罰則

総務省令に従った場合以外にも《指定表示》といって、工業標準化法の規定に従った場合や、その他の法律の規定で防炎性能に関する総務省令に従った場合にも防炎物品の表示が許されます。

それらに従わずに防炎の表示や、紛らわしい表示をすることは許されません。
4

防炎性能が必要な物品や材料なのに、防炎物品の表示をつけていないものは、防炎物品だとして販売することはもちろん、防炎物品だとして陳列することも許されません。
5

防炎物品を使わなければならない建物や施設の関係者は、防炎物品を加工して使おうとする場合は総務省令に従って防炎物品であることがわかるようにしておく必要があります。
原文
火を使う設備に関する条例
第9条

かまど、風呂、こんろ、こたつなどの設備の使い方、設置位置、構造、管理方法については火災予防のため、政令の基準に従い各市町村の条例で決めた必要事項を守らなければなりません。
原文
住宅用防災機器の設置と維持
第9条の2

家、つまり住宅にも住宅用の防災機器を設置し、ちゃんと機能するように維持をしておかなければなりません。

この義務は、必ずしも住宅の所有者だけに限らず、管理者や住人など関係する人々で担当する人を決めてその役割を果たしてください。
2

住宅用防災機器の設置・維持に関する基準や住宅火災の予防に必要な事項は、政令の基準に従い市町村の条例で決められます。
名古屋市のホームページによれば、《住宅用防災機器》には感震ブレーカー、住宅用の火災警報器、消火器、防炎品などがあるようです。
原文
可燃性ガスの貯蔵や取り扱いの届け出
第9条の3罰則

溶接工事に使われる「圧縮アセチレンガス」や家庭でも使われる「LPG(液化石油ガス)」を基準量以上に貯蔵したり、定量的に取り扱いを行う人はあらかじめ消防長や消防署長への届け出が必要です。

これらの物質の他に、火災予防や火事になると消火がたいへんなことになる物質を基準料以上に貯蔵したり、定量的に取り扱いを行う人も届け出が必要です。

例外として、船舶、自動車、航空機、鉄道などでタンク輸送のために貯蔵する場合や、消防法以外の政令で規定されているケースでは、消防長や消防署長への届け出は不要です。
2罰則

消防長や消防署長への届け出をしていた人が貯蔵や取り扱いをやめる場合も届け出が必要となります。
「圧縮アセチレンガス」の指定数量は40kg、「液化石油ガス」の指定数量は300kgです。
原文
少量の危険物や指定可燃物は条例で基準を
第9条の4罰則

消防法に関する政令で、危険物には危険度が高まるガイドラインとして物質ごとに《指定数量》が決められています。

わら製品や木材を糸状にした「木毛」をはじめ、火災になると火の回りが早く消火が難しいため、政令で定められた物品を《指定可燃物》といいます。

指定数量に満たない危険物や指定可燃物、指定可燃物に準じるものに対して、貯蔵方法と取扱上の技術基準は市町村の条例で定められています。
2

指定数量に満たない危険物に対して、貯蔵場所や取扱場所、その位置や構造、設備の技術上の基準は市町村の条例で定められています。

なお、消防用設備の技術基準は第17条第一項で規定します。
《指定可燃物》には、わら製品と木毛の他に、綿花、紙くず、石炭・木炭、合成樹脂などがあります。
原文
第3章 危険物に対して

第1章 この法律を通して言えること
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